従来の維持管理においては、日常管理における傾向管理と定期検査等による点検・調査から施設(構成要素)の健全度を評価し、補修の必要性を判断して対策を講じています。これに対しダムの長寿命化を目指してより効率的・効果的な維持管理を行う為には、堤体・ゲート・電気設備等の各構成要素の損傷・劣化のメカニズムを検討し、ダム機能への影響度を評価して管理レベルを設定し、それに応じた保全の考え方(予防保全/事後保全)を整理し、次いで、管理レベルと健全度評価区分を組み合わせて対策実施の必要性の判断を行うことが必要です。さらに構成要素の設置条件(使用条件、環境条件)も加味して総合評価を行い、対策実施の優先度を決定します。
ダム技術センターでは、このようなダムの長寿命化に向けた研究を進め、これらの考え方をダム総合点検やダム維持管理計画等に反映させるとともに、経年的な損傷・劣化メカニズムの解明、点検・調査手法や健全度評価手法の向上、補修計画・対策技術の向上等を図っています。
管理開始から数十年を経過するダムが増加し、今後は管理ダムの経年劣化による機能低下やそれに対する維持管理費の増加が予想されます。
効率的なダムの維持管理の実施方策の考え方(フロー)